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第8回お題

岩絵の具



 皆様は『岩絵の具』と言う絵の具をご存知でしょうか?一言でいってしまえば岩、つまり
鉱物を使った絵の具です。僕のページにもいろんな色をした鉱物がありますね。昔の人々も
鉱物の色の美しさを知っていて、何とか絵の具にしようと思ったのでしょう。では、一体鉱
物からどうやって絵の具を作るのでしょう?まずそこからお話します。         

 まず岩絵の具にする鉱物を選びます。と言うのも、色のある鉱物全てが岩絵の具になる訳
ではないからです。鉱物の『色』には本当の色とそうでない色があります。鉱物には条痕と
いう性質がありますね。この条痕の色、『白』である鉱物が多いんです。またこの条痕が白
い石は『他色』、条痕に色のついた石を『自色』の石と呼びます。それは一体何故なのか?
詳しく話すとちょっと長くなりますので、ここでは割愛させていただきます。とにかく、他
色の石では白い絵の具にしかなりません。そこで条痕が白では無い鉱物、『自色』の鉱物を
選びます。                                    

 さて、条痕に色のついた鉱物を選んだらまず細かく砕きます。鉱物コレクターとしては実
に勿体無い事ではありますが(^-^; まず砕かない事には岩絵の具になりません。ここは心を
鬼にして細かく砕きましょう。ここでワンポイント!岩絵の具は粒子が細かいほど色が薄く
なります。濃い色を出したい方は少し粗く、薄い色が欲しい方は出来得る限り細かくして下
さい。細かくしたら乳鉢などに取り、にかわと水でゆっくり混ぜ合わせて出来上がり!後は
絵筆にとって塗るだけです。                            

 では具体的にどんな鉱物が岩絵の具になるのでしょう?おそらく1番有名なのはマラカイ
トでしょう。かのクレオパトラがアイ・シャドーとして使っていた事はあまりにも有名です
ね。岩絵の具では無いのですいませんが(^-^; 他に辰砂の赤、石黄の黄、藍銅鉱の群青、同
じく青金石(ラピス・ラズリの主成分)の群青など実に豊富です。とは言え鉱物の色にも限界
があるので現在では合成された物や方解石に色をつけた新岩絵の具が使われています。  

 ここでちょっと面白い(と言うより困った?)話題を・・・一部の鉱物を使った岩絵の具は
色が変わってしまう性質があるのです。辰砂などの硫化鉱物は空気中の水と反応して硫酸を
生成し、次第に風化していきます。更に藍銅鉱は不安定な鉱物なので長い年月のうちにマラ
カイトに変わってしまうんですね。色が失われてしまう赤の辰砂も困り者ですが、青が緑に
なるのはもっと困りますね。だって空や海が緑になっちゃうんですよ(^-^; だから新岩絵の
具が普及したんでしょうねぇ。色が変わるのもまた面白いのですけど・・・ねぇ。    

 それでは今回はこの辺で・・・                          
                       M.E.O.

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