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第9回お題

条痕と鉱物の色



 前回、条痕についてのお話をしていませんでした。そこで今回、その条痕色と鉱物の色に
ついてお話したいと思います。                           

 鉱物には自色と他色があります。この自色と他色が岩絵の具になるかならないかの分かれ
目です。結論から言うと他色の鉱物は岩絵の具にはならないのです。          

 まず水を思い浮かべてみて下さい。水は何色に見えますか?南の海ではエメラルドグリー
ン。滝壷など水深の深い所では青。でも手のひらにすくって見るとそれらの色は消えてしま
いますね。では何故色がついて見えたのでしょう?実は微量に含まれる金属イオンの影響な
のです。                                     

 鉱物も水と同様、金属イオンによって色がついて見えます。現在展示してある藍銅鉱は透
明感のある結晶も産出しますが、自色の鉱物なので岩絵の具になります。でも僕の大好きな
水晶は、どんなに色がついて見えても他色の鉱物なので、岩絵の具にはならないのです。で
は藍銅鉱と水晶は何処がどう違うのでしょうか?                   

 まず、他色の鉱物について説明します。他色の鉱物には本来色はありません。純粋なもの
は白または透明な結晶となります。色がついて見えるのは微量に含まれる金属イオンや、放
射線などの影響により分子配列が変わるためなのです。このような発色はある程度、数が集
まらないと人間の目には色として認識されません。そのため、岩絵の具にしようと粉にして
しまうと色を認識する為の絶対量が足りず、色が消えてしまうという訳です。      

 では何故、自色の鉱物は粉になっても色が残るのでしょうか?藍銅鉱で説明します。藍銅
鉱の化学式はCu2(OH)2(CO3)2です。注目していただきたいのはこの化学式の中にある『銅イ
オン』です。藍銅鉱の藍色はこの銅によって付いているので、たとえ粉になっても色が残る
のです。自色の鉱物のほとんどは藍銅鉱と同様、鉱物自体に色を出す成分があります。だか
ら自色の鉱物は岩絵の具になるのですね。                      

 それでは今回はこの辺で・・・                          
                       M.E.O.

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