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第12回お題

双晶



 このHPに時々登場する『双晶』。最近その数も増えてきた訳ですが、まだちゃんとした説
明ってしていませんでしたよね?双晶の数も種類も増えてきたと言うこともありますので、
ここら辺でしっかりとお話をしようと思います。                   

 1.『双晶』とはなんぞや?                           

 まず基本的な事からお話しましよう。このページをご覧の皆様の中にも、収集を始めて間
もない方や『双晶』という言葉は知らないという方もいるのではないでしょうか?まずどう
いう結晶が双晶と呼ばれるのか、その事から説明しますね。双晶とは『複数の結晶が、一定
の対称性を持って結合したもの』と定義する事ができます。2つの結晶がただ並んだだけで
も『平行連晶』などと呼ばれていますが、これは正式には双晶と言わないそうですよ。かく
言う僕も最近知りました(^-^; 双晶と呼ばれるには特定の角度や結晶軸の共有などの条件が
必要なんです。では僕のHPにある石を見本にしてお話しましょう。           

 2.2つの結晶からなる双晶                           

 双晶と呼ばれるくらいですので、最低2つ以上の結晶が特定の条件下で結晶化しなければ
なりません。まずその代表的なものから・・・                    

 2−1.水晶の双晶                               

 水晶は二酸化珪素(SiO2)の結晶です。その結晶は珪素と酸素による正四面体構造が螺旋状
に連なって形成されています。この螺旋には右巻きと左巻きがあって、右巻きの結晶を『右
水晶』、左巻きを『左水晶』と呼びます。なぜ、結晶構造なんていう話から入ったかと言う
と、右水晶と左水晶の双晶、右水晶同士または左水晶同士の双晶と言うのが存在するからな
んです。水晶の柱面が伸びる方向(c軸と言う)を共有した双晶がそれで、右水晶と左水晶が
双晶化した結晶をブラジル式双晶、右同士または左同士が双晶化した結晶をドフィーネ式双
晶と呼びます。そして驚く事に天然の水晶の多くがどちらかの双晶で産出しているそうなん
です!今回、双晶をテーマに書くにあたって、詳しく調べて分かったのですが・・・今まで
全く知りませんでした!ちなみに両双晶の詳しい見分け方は僕自身良く分からないので、こ
こでは割愛させていただきますm(__)mパッと見ただけでは分からない事も多いそうです。皆
様がお持ちの水晶や、僕のコレクションにもあるのかも知れませんねぇ。        
 そして、水晶の双晶といって忘れてはいけないのが『日本式双晶』ですね。平板型水晶が
84度33分の角度で交わり、結晶化したものです。日本で多産した事から『日本式』と呼ばれ
るようになりましたが、外国産も多数発見されています。日本産より大きい結晶が多いです
よね。また、このタイプの双晶は『蝶型双晶』と呼ばれています。なぜか水晶は日本式が多
く使われていますが、形としては『蝶型双晶』に属します。              

 2−2.その他の双晶                              

 2つの結晶からなる双晶は他にも多数有ります。ではまず『スピネル式双晶』から。名前
の通り、スピネルに多く見られる結晶形で、三角板状の結晶になります。普通は正八面体の
結晶になるのですが、この結晶の三角形の部分を共有した双晶が三角板状になるそうです。
また、正八面体に結晶化する鉱物の多くがスピネル式双晶を形成するそうで、ダイアモンド
のスピネル式双晶も存在します。宝石業界では『マクル』と呼ばれています。このマクル、
フランス語だそうで、本来は双晶全体を指す言葉だそうです。             
 あと有名なのが十字石ですね。十字石は2つの結晶が双晶化して十字架のように見える石
です。ただ、双晶になる角度は90度だけでなく、60度の結晶もあるので、全ての結晶が
十字に見える訳ではないのです。そもそも単結晶はただの棒みたいですしねぇ(^-^; まぁ、
『十字石』と名がつく程に双晶化しやすい石ではあるのでしょうね。          
 そうそう、僕のHPにはもう1つ綺麗な双晶がありました。方解石の蝶型双晶です。蝶型双
晶の有名な産地、鹿児島県の串木野鉱山産の結晶です。この石は典型的な蝶型なんですが、
僕の目には蝶には見えません。強いて昆虫にたとえるならカブトムシの角ですかね。なんに
しても蝶ではないような気が・・・ま、あくまでも僕の主観なんですけどね。      

 3.三連双晶                                  

 次に3つの結晶からなる三連双晶についてお話します。一般的に結晶が3つ、60度で双
晶化するというタイプが多いようです。この様な三連双晶は六角形に見えるんです。僕のHP
でいうと金緑石アレキサンドライトがそれにあたります。また十字石でも三連双晶は出来
るんです。こちらは柱状結晶の三連双晶なので、六角形と言うよりは雪の結晶の様に見えま
すね。                                      

 4.それ以上の双晶                               

 鉱物には3つ以上の結晶が双晶化して、見事な形になる物もいくつか有ります。うちのHP
でも1つ、多数の結晶が双晶化して出来た石があります。それが黄鉄鉱の鉄十字双晶です。
これは4つの結晶が中心の一点から伸びる3本の結晶軸を共有していて、正六面体の各面に
十字が見えると言う珍しい双晶です。ただ、この石に関する情報があまりに少ないために、
詳しい事は分からないのが現状です。結晶に関する専門書の類が手に入ったら分かるのかも
知れませんが、その様な書籍も見つけてない今はこれ以上の説明が出来ないです。    

 今回は僕のコレクションを中心にお話しました。ですので、説明に偏りがあるとは思いま
すが、そのあたりはどうかご容赦ください。また当然ながら、今回紹介した以外にも多数の
双晶が存在します。また機会があったら双晶の話、第2弾もしてみたいと思います。   

 それでは今回はこの辺で・・・                          
                       M.E.O.

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