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第7回お題

鉱物採取日記〜その2〜


 え〜、この石物語第7回は前回、第6回の続きになっております。まだ読んでない方は、
先に第6回をお読み下さいませm(__)m                        


『そして真の産地へ・・・』編

 2002年3月10日 〜5度目(?)の正直〜                         僕はまた、例の奥琵琶湖の産地へと向かっていた。前回の挑戦で間違いなく柘榴石と思わ れる結晶(の一部)はゲットした。だが帰り際、立ちくらみという偶然に助けられてある事実 に気付いたのだ。そして気付いた事とは・・・『この広場は真の産地じゃない』という事実 だったのだ!その事実に気付いたのはふと見上げた時。脳裏にネットで手に入れた情報から 2つのキーワードが浮かんできた。1つは『山の斜面』。そこは採取日記形式で書かれたテ キストのページだったのだが、そこに『山の斜面を掘って・・・』と書かれた部分があった のだ。そう、帰り際見上げた瞬間、柘榴石が転がっている広場の上方にある斜面が目に入っ た。これの事だったのか・・・謎が一気に解けた気がした。そして続けざまに浮かんできた のが次のキーワード『下の広場で・・・』の部分。これも同じサイトの同じ日記の一部なの だが、管理人の方が石を選別している途中、他の方が下の広場で石を探しているのを見かけ たというくだりがある。つまるところ、僕が柘榴石を見つけたこの広場は『下の広場』であ ったのだ!!!なら当然良い石は上の斜面か、その周辺にあるのだろう。今回は春こそ近い が、まだ草が芽吹くには早い。石を探すには絶好の時期であろう。そう、だからこそ3月と いうこの時期を待ったのだ。                              前回の事を色々思い浮かべながら車を走らせていると、目印のリゾートホテルが見えてき た。ここを右折して山に向かい、途中のロッジの手前で車を降りる。ここからはネットで辿 り着いた日記形式のページを再現する感じで進んでみる。そこにこそ真の産地がある!!! ・・・ハズだ。はっきり言って確信などないのだが、手がかりはもうこの日記しかない。ま ず、山に向かい何度か足止めを余儀なくされた広場へ到着。ここは前回石を採取した『下の 広場』より少し上にあるのだが、ここから更に『水平に続く』道があるらしい。草が枯れて 進めるようになった道は2つ。前方に続く上り坂っぽい道と、やや後方の山の斜面に沿って 伸びる『水平に続く道』。こっちだったのか・・・。実は前回来た時にもこの道は見つけて いたのだが、その道の入り口付近の木に『イノシシ用罠あり、注意』という看板があった。 その時はまだ草がかなり残っていたので危険を避けるためにそちらへは行かなかったのだ。 今も看板は残っているが、草はすっかり枯れているから罠があっても発見できるだろう。少 しだけ『罠にかかったらどうしよう?』などと思いながら、歩を進めると下の広場から見上 げた斜面が見えてきた。ふと足元を見ると5cmほどの石英の塊が落ちている。その隣りには 小さな小さな柘榴石が・・・「やっと見つけた!!!」僕は思わず声に出して産地と思われ る斜面へと向かった。                                 数歩歩くと誰かが割って小さくしたのだろう、柘榴石の塊がゴロゴロしている場所を発見 した。ここなら良い石もありそうだ。僕はじっくり腰をすえて、石を選別し始めた。だが透 明度はあるものの中々大きな結晶は見られない。やはり割らなければダメかな?そんな事を 考えながら腕組みをしていると少しはなれたところからハンマーで石を叩く音がする。どう やらお仲間がいるらしい。聞いてみようかと近付いたが、ものすごく熱心に石を採取してい る。「なんか邪魔するみたいで悪いな」そう思った僕は手近な石を割ってみる事にした。取 りあえず手近な石を手に取り、力を入れてみる。ここはスカルン鉱床であるため、母岩に見 える部分も実はほとんど柘榴石で出来ている。力をいれるだけで簡単に小さく割れるのだ。 案の定、『パカッ』と言う効果音が聞こえてきそうな程にアッサリと2つに割れる。割れた 面をよく見ると5mmくらいの結晶が顔を出しているではないか!「おぉっ、遂に・・・」僕 は万感の思いでこの結晶を観察した。母岩(とは言っても全て柘榴石だが)の中に埋もれる形 で、5mmくらいの24面体結晶が半分ほど見える。「でも母岩から取り出すと綺麗な形はして いないだろうな」と思い、僕はそのまま慎重にティッシュに包んだ。            その後、ほとんど場所を動かず石を探したが、あまり収穫はなかった。前回も思ったのだ が、いきなり大きな結晶を見つけるのは無理だろう。本によれば『2cmを超える』結晶が採 取でき、『黒いガーネットの壁』があるハズなのだが・・・。この本が書かれたのが1998年 だから、産地の様相も変わってしまったのだろう。もっと探せば2cmを超える大きな結晶が 見付かるかも知れない。それは次の機会にゆずっても良かろう。              以上で今回の採取日記を終わります。いやぁ、長かったですねぇ。まぁ、僕の採取がいか にいい加減だったかが分かって頂けたのではないでしょうか(^-^; また石を採りに行った時 などに『その3』を書いてみようと思います。最後になりましたが、産地の正確な場所、参 考にした本を紹介して終わろうと思います。                      産地:滋賀県伊香郡西浅井町『小ツ組』 『関西地学の旅宝石探し』 大阪地域地学研究会 東方出版 定価1,400円  「奥琵琶湖のガーネット」のページに小ツ組の紹介があります。ただ、『小ツ組』とは書 いてないので注意して下さい。                             それでは今回はこの辺で・・・                                                  M.E.O.

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